第11章 備えろ、期末テスト
モニターの向こう側で
生徒たちが一斉に動き出す。
生徒たちの様子を観察しながらも
やっぱり目で追ってしまうのは
大好きなあの人。
(……戦ってるところをじっくり見れるなんて、
これは最高のお仕事なのでは……!?)
運搬係も悪くない。と思いつつ
モニターを見つめる。
電柱の上に忍者のようにしゃがんでいる消太くん…
か、かっこいい……
目をキラキラさせながら観ているのがバレてしまったのか、リカバリーガールから溜め息が聞こえた。
消太くんが担当するのは轟くんと八百万さん。
力推しのきらいがある轟くん、
判断力と応用力が課題の八百万さん。
二人がどう消太くんを攻略するのか…
まずは消太くんの視界から逃げなければ対策も打てない。
USJの時の後遺症……
そこを突いていければなんとか……
後遺症は発動時間の短縮とインターバルの増加。
その程度で済んで良かったとも思ったが、やはり消太くんのような個性は発動時間の短縮は命取りだ……。
心操くんと一緒に自分も鍛えているのは、いざ戦う時に消太くんの横で力になる為。
ジッとモニターを見つめる。
消太くんの瞬きの瞬間を狙い、轟くんが大氷壁を出した。
(……うまい!)
二人に逃げられた消太くんは
追撃せずに待ちの姿勢だ。
笑っている。
生徒の成長が嬉しいんだろうなぁ。
私までニッコリしてしまう。
「随分と嬉しそうだねぇ。」
「……そうですね。」
「アンタのことさね。」
私のことだったか……。
リカバリーガールにはバレバレみたいだ。
消太くんばっかり見ていること。
これでは本末転倒。
教師失格だと言われるだろうか。
「好きなんだろう?」
「……え?」
「頑張りな。」
「……はい。」
モニターから目を逸らさずに返事をした。