第6章 白銀【2】
「…行ったね。」
拍鉛病に、オペオペの実、そして、D…
時代はきっと動き始める。
ウチに帰ると、3日は帰るなと伝えた弟子が扉の前に待っていた。
今日がちょうど三日目だ。
「ドクトリーヌ!なんだよ急に、帰って来るなって!」
「悪いね、チョッパー。ちと面倒な客が居たんだ。」
「…ドクトリーヌ?」
トナカイを部屋の中へ入れ、温かいココアを淹れてやる。
それを持たせて向いに座らせ、目を合わせた。
「…チョッパー、お前は万能薬になると言ったね。
それなら、アタシの元で学ぶだけでは無理がある。」
さぁ、昔話をしよう。
アタシが唯一治療法が全くわからなかった病の話を。
アタシが見捨てた国の話を。
1番の人の病は心に巣食う。
それを治せなきゃ、お前は万能薬にはなれない。
いつか、お前はあのヤブ医者の言葉通り、海へ出るんだろう。
どんな形でその時を迎えるかは知らないが、もし、海の上であの小僧どもに会えたなら、アタシ以上の腕で、あのふたりを助けてみせな。
拍鉛病はあの小僧が治すだろう。
お前はあの2人の、拍鉛病という心の病みを治してみせな。
医者を恐れ、人を恐れる小娘と、、、拍鉛に囚われ続ける小僧の病みを、ね。