第2章 白い光
「…いいだろう。だが条件がある。さっきお前の言っていた対価だ。」
王下七武海、あの男と同じ
ならば最大限に利用してやる
「俺はある男を追っている。七武海の権限でもなんでも使って、そいつに関する情報を俺に流せ。」
「…相手は誰だ。」
「それはまだ言わねぇ。その女が此方に危害を加えないこと、お前が信用に足ること、この2つが確認できてからこの取引は開始する。それまではまだ治療もしねぇし、お前も対価を払う必要もねぇ。
道具が揃うまでの期間、見極めさせてもらう。」
「…手遅れにはならないのか。」
「ああ。こいつは放っておいてもまだあと5年は生きられるだろう。元の珀鉛が少ねぇからな。」
「そうか、なら良い。」
「交渉、成立だ。」
鷹の目と視線を交わし、警戒は解かぬまま口上での契約が成立した
「紙とペンはあるか。」
「そこにあるの、勝手に使え。」
俺は顎で机の上の羊皮紙と万年筆を指した
鷹の目は黙ってなにかを書きつけていた
「これを。」
1枚の小さな紙を俺に渡してきた
「俺のでんでん虫の番号だ。何かあればそこに掛けろ。」
俺も紙とペンを取り、自分の番号を書いて鷹の目に渡した
連絡手段がなければ情報も得られない
「…あいつが賞金首にならないように気をつけろ。ある海賊に狙われている。」
「あ?」
「…その海賊はあいつは死んだと思っている。生きていることが露見すれば、追手が来るやもしれん。」
「…」
「そうなれば困るのはお前たちだ。」
「…なるほどな。」
色々と厄介だ
まぁ良い
今までなんの手掛かりも無かったあの男の情報
それが逐一手に入るならば、こんな対価は安いくらいだ
それから鷹の目は自分の船に乗せてあったこの女の刀や荷物を持ってきた
十分すぎるくらいの金も
先程書いたであろう、手紙のようなものも荷物に忍ばせ、もう一度女の顔を見ると、黙って部屋を出た
「…あいつを、頼む。」
「…病の件は、責任を持つ。」
それを聞くと、ニヤリと笑って鷹の目は去った