【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第5章 君のため
「おい!萩原!速度超過だぞ!!」
「なーに?降谷ちゃ〜ん!聞こえないよ〜!!」
暑い暑い夏の日、
僕たち4人は萩原の誘いで下田の海に向かっていた。
「窓を閉めてクーラーをつければ良いだろう!!」
「せっかく伊達班長がいねーんだから
細けーこと言ってんなよな!ゼロ!!」
助手席から松田が振り向いて
サングラスを下げる。
「班長がいないからこそ僕が言ってるんだろ!!」
「まぁまぁ、みんな落ち着いて…」
「ヒロも何とか言ってくれ!」
おいおい嘘だろ。
萩原は自慢のスポーツカーで
制限速度40km/時の細い道をありえない速度で進んでいく。
「あ〜あ、伊達班長は今頃彼女とデートかぁ〜
俺も早く可愛い女の子たちと海で泳ぎてぇ〜〜」
「つーか、下田って遠いなー
道ほっせぇし!ほぼ山道じゃねーか!
諸伏、ゼロ、ポッキー食べる?」
前の2人は人の話なんか聞いてもない。
萩原のドライブテクニックはもちろん上等だが、
こういう田舎道は
近所の住民が突然飛び出してくることなんて
ザラに---