【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第3章 人でなし
紙袋を握る手に力が入る。
平穏な日常とは突如として壊されるものだ。
自らの手で壊されるものもあれば、
他人によって理不尽に壊されるものもある。
子供の頃当たり前のように言っていた
「また明日ね」は永遠に訪れない時もあるということを
僕は知っている。
車に乗り込み、
発進させる前に1本電話をかた。
「…風見か。僕だ。少々厄介なことになりそうだ」
「厄介なこと、と言いますと?」
安室はマデイラのことを簡単に説明する。
「…なるほど。メールや電話ではなく、
直接降谷さんに伝えにきたと言うことは…」
「これは組織にとって最重要案件ということだ。
僕は例の件と並行してこちらも追っていく…」
「大丈夫ですか?例の件であれば
私が情報収集をしておきますので
降谷さんはマデイラの方を…」
「…いや、これは僕の問題だ。
僕がケリをつけなければ意味がない」