【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第12章 君は誰の手に落ちる
沖矢が先回りをして青木ヶ原樹海へ来ると、
公安と思われる車が数台停まっていた。
(やはりそよ香を回収するつもりか…)
赤いマスタングはやたらと目立つが、特に呼び止められることもなかった。
ジョディとキャメルはハイキングに来た外国人観光客を装い、
ところどころにある山小屋を見て回っていた。
2人がある小屋へ近づいた時、スーツ姿に眼鏡をかけた男性に呼び止められた。
「Excuse me.日本語分かりますか?」
「ハーイ!少しだけナラ、分かりマース!」
ジョディはわざとらしくカタコトの日本語で答える。
「この小屋はこれから取り壊し作業が行われるため、使えません。
破材が近くに飛ぶ可能性もあるため、
離れた場所でハイキングをお楽しみください」
「Oh~~そうなんデスか!ありがとうゴザイマス!
行きましょ、ダーリン♡」
「あ…はい」
キャメルの腕を胸に抱くと、ジョディは山道にでる。
「…シュウ?見つけたわ」
『早かったな…地点を送ってくれ。俺も合流する』
通話を終えると低いエンジン音が近づいてくるのが分かった。