【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第9章 渡さない*
とはいえ、やることがないわけではない。
ジェイムズへの報告に
これから本気でそよ香のことを奪いにくるであろう
奴らの作戦をどう崩すか…
そよ香の作ってくれた朝食を食べ、考えあぐねていると
再びスマホに通知が入る。
今度はそよ香の位置情報に動きがあったことを告げた。
約束通り、定時に退社をしたようだ。
これからスーパーに寄るとしたら帰宅するまで
あと1時間はある。
そよ香には家事禁止令を出されたわけだが、
まとまった睡眠をとったおかげで心身ともに好調だ。
(今日は可愛がってやるか…)
風呂掃除でもしようとソファから立ち上がり
掃除道具をあれこれ用意していると、
ポケットに入れていたスマホから着信音が流れる。
「俺だ、どうした」
『赤井さん…!すみません、そよ香さんが……!!』
キャメルの言葉を最後まで聞くと
耳と肩で挟んだスマホが床に滑り落ちる。
怒りで震える手で拾い上げると日本語など忘れた。
「……What…did you say. Camel…?」
(…もう一度言ってみろ。キャメル…)
『 I……I am deeply sorry ,Sir…!!』
(も…申し訳ございません!!)