第3章 佐助
『信長さま、私は障子の外で待機しております。ご用の際は なんなりと…。』
『あっ、じゃあ お願いが!』
三成の言葉を遮ってひなが声をかける。
三成はニコニコしながら「喜んで。」と答えた。
『ちょっと小腹が空いたので、なにか軽く食べられる物を用意してもらえないかな?』
(誰かがずっと部屋の外にいるんじゃ気が休まらないよ。)
『かしこまりました。それでは何か作って下さるよう頼んで参ります。暫くお待ち下さい。』
三成が部屋を離れるのを確認すると、ひなは『はぁぁぁ~』と盛大な溜め息をつく。
『っていうか信長って男だよね?
もしも顔が似てるんだとしても(それも嫌だけど!)なんで女の私と間違えるかな。
着てたのピンク色の着物だよ?
え、私って、そんなに男らしい顔してる??
…桜文(さくらもん)の着物は縁起の良い物事の始まりを意味する、
今日は何か良いことがあるかも?って言ったくせに。』
『うん、ごめん。でも君はとても可愛い顔をしていると思う。』
『…っきゃ…!!』
ひなは飛び起きて叫びそうになるのを必死で耐えた。
『さ、佐助さん!?いつの間に…。』
気付くと、ひなの足元に佐助が正座をして座っていたからだ。
『良かった、やっと会えた。』
佐助が微笑んでいる。
聞けば、佐助も ひなと同じく、この戦国時代に飛ばされ、既に4年の月日が流れたらしい。
その間ある人の所でお世話になり、手に職をつける意味も込めて忍者の修行をしているそうだ。
『佐助さん、ホントに忍者になったんですね。』
驚きに目を丸くしていると佐助が言う。
『俺のことは「佐助」でいい。敬語もいらない。
で、ここからが本題なんだけど、俺達が この時代に飛ばされたせいで色々と歴史が変わってしまったみたいなんだ。』
『歴史が…変わった?』