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イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第29章 束の間の休息(政宗と)


『痛っ!』

欠片で指先を切ってしまったらしい。


『予想通りの行動過ぎて逆に落ち着くな。手、貸してみろ。』

苦笑いしながら、ひなが切れた指先を見せる。

棚から何かを取り出すと、政宗が指に塗ってくれた。


『ガマの油だ。切り傷には良く効く。』

その後、真新しい木綿の布を引き裂くと包帯のように巻いた。


『手伝おうと思ったのに、かえって迷惑かけちゃって ごめん。』

申し訳なさそうにひなが言うと、政宗は優しく笑う。

『迷惑じゃないから謝るな。のぶ…。』

言いかけて言葉が途切れる。

『良かったら、他の奴らが居ないときは幼名(ようみょう)の「ひな」って呼んでもいいか?』

『えっ?』


(幼名?あぁ、この時代の武士って、元服?するまでの名前があるんだっけ。


幼名が私の名前だったんだ…。)


『うん、そうしてくれると私は嬉しい。』

(やっぱり自分の名前、呼ばれたいしね。)

『そうか。それじゃ、ひな、手伝ってくれてるのに迷惑なわけないだろ。

きっと城のみんなも同じ気持ちだ。』

そう言うとポンポンと頭を撫でた。


(うっ、さりげなくキュンとくるようなことを…。)


『…っと、頭撫でるのは、さすがに失礼だったか。』

『ううん!頭撫でられるの嬉しいから…迷惑なわけないだろ。』

ふふん、と、ひなが政宗の声真似で言う。


すると、ピシッと おでこを指で弾かれた。

『あいたっ!』

『ばーか、全然似てねぇよ。』

そう言うと、残った欠片を拾いだした。

『また怪我されると面倒だから、ひなは触るなよ。』

手際よく片付けると政宗は、また西瓜を切る作業に戻る。

ひなも今度は調子に乗らないように気を付けながら西瓜を並べた。
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