• テキストサイズ

イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第29章 束の間の休息(政宗と)


政宗は軽々と大きな西瓜を持って台所へ向かう。

『よ…っと。こんだけありゃ、城のみんなにも配れんだろ。』

早速ご自慢の包丁を取り出す。もちろん、西瓜切り包丁も常備しているのだ。


『うわー、すごい包丁!』

ん?と見ると、台所の入り口からひなが ひょこっと顔を出していた。

『信長さま?どうかしましたか?』

『ううん、なにか手伝えるかと思って。謁見までは暇だからさ。』


『これか…、城のみんなが最近、困ってんのは。

誰彼構わず『手伝うことはないか』と声をかけているらしいが。』

『え?』

『いいえ、なんでも。それじゃ、俺が片っ端から切っていくんで適当な皿に並べて貰えますか?』

『了解!』

嬉しそうに大皿を用意し、ひなが西瓜を並べる。


『ったく、子供かよ。』

微笑みながら政宗が呟く。

鼻歌混じりに手伝っていたひなだったが、調子に乗ってふと油断した。

2つ目の皿に乗せようとした時、腕が皿の端を叩き、テコの原理で見事に引っくり返った。


『わっ!』

(落ちるっ!)

咄嗟に皿の下に伸ばした手を、政宗がグイッと引いて止める。


ガッシャーーーン!


激しい音が台所に響き渡った。

『あぁぁ…割れちやった。もう!せっかく届いてたのになんで手、引っ張ったの!?』

膨れっ面でひなが問いただす。

『あのなぁ、こんなデカい皿、たとえ届いても片手で支えられるわけねぇだろ。

おまけに、その右手は怪我してんのに、また酷くなるだろうが。』

政宗の指が、治りかけのひなの掌をなぞる。

ビクッとひなの肩が揺れた。

『すまない!痛んだか?』

『う、ううん!大丈夫!お皿、片付けないとね。』


さりげなく政宗の手をほどいて、ひなが座り込む。

(び、びっくりした…っていうか、なんで掌 触られたくらいで、こんなにドキドキしてるの私!)

慌てて欠片(かけら)を拾い集める。
/ 361ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp