第28章 束の間の休息(秀吉と)
ひなも秀吉の前に膝立ちして座る。懐から手拭いを取り出すと肩に手を掛け、ぽんぽんと秀吉の額の汗を拭った。
『なっ!な、に、の、のぶ…!』
『秀吉、「な行」の練習か?』
政宗が楽しそうに茶化す。
『政宗!からかってないで、お前も止めないか!
信長さま、私は大丈夫ですから。』
『ん?拭いてるのに どんどん汗が出てくる…。
私のために走り回ってくれたんだね、ありがとう、秀吉さん。』
(心なしか顔も赤いような。)
『さーて、誰かさんが西瓜みたいに赤くなってる間に、本物の西瓜、切っちまうか。』
そう言うと、くくっと笑いながら政宗が歩き出す。
『おいっ、政宗!』
『わー、楽しみだなぁ。西瓜なんて久し振りだよ。秀吉さん、あとで一緒に食べようね。』
ひなが嬉しそうに笑う。
その笑顔が眩しくて目が眩む秀吉だった。