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イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第28章 束の間の休息(秀吉と)


… … …


『はぁ、やっと読み終わった。』

山のような書簡を脇に寄せると、文机に突っ伏す。


ふと気付くと秀吉の姿が無い。いつの間にかいなくなったのも解らない程、集中していたようだ。


『秀吉さん、何処行っちゃったんだろ?』


ひなは、ひとつ大きな伸びをして立ち上がる。

『よっ、と。外の空気でも吸おう。』

障子を開けて廊下に出た。


この時代に来てから、すでに1ヶ月がたとうとしている。

あと、ひと月もすれば現代に帰れるかもしれないと、佐助が言っていたのを思い出す。


『あと、ひと月…。』


『何があと ひと月なんだ?』

上の空で歩いていると、ぶつかりそうな距離で政宗が尋ねる。

『うわぁっ!』

『おっと、失礼しました。どうも最近の信長さまには こんな感じで話しちまうな。

何があと ひと月なんですか?』

『敬語は要らないよ。私もなんだか違和感あるし。』

考えてみれば、歴史に名を残す武将達から庶民の私が敬語を使われてるんだよね。

いや、今は信長なんだけど。

そういうわけにはいかない、と納得しない政宗に提案する。

『解った。それじゃ、タメ口になっても気にしないってことで。』

政宗が首を傾げる。

『タメ…グチ?とは』

あぁ、えっと…

『思わず敬語じゃなくなっても、ってこと!』

やっと、「それなら…」と政宗が頷く。


『ところで…その両手に持ってる物は、もしかして…。』

緑の真ん丸に黒の線が入った…


『『西瓜(すいか)だ!』』

思いがけず声が重なり笑い合う。

『にしても大きいね!この西瓜どうするの?』

叩くとポンポン!といい音がする。

(美味しそう…。)

『ふっ、秀吉が…

『信長さまが暑くてバテてるみたいだから、なにか涼を取れる物は無いか?』

って心配そうな顔してやって来るもんで、急いで用意しました。

で、この作戦は成功みたいだぜ、秀吉。』

と、ひなの頭越しに声をかける。


『そうか!なら良かった。』

振り返ると、心底 安心した顔の秀吉が立っている。

涼を取れる何か、を探してあちこち走り回ったのか、額に汗が滲んでいた。

『秀吉さん!』

くいくいっ、と小さく手招きし秀吉を座らせる。
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