• テキストサイズ

イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第23章 懸崖撒手(けんがいさっしゅ)/前編


『えぇっ!?どうして私達じゃなくて上杉、武田軍に?』

『考えられるのは、我等 織田軍が放ったと誤解させるため、でしょうか。

矢合わせもせず不意打ちで大砲を打ったとなれば、上杉、武田の軍も黙ってはいないでしょう。

そうなれば、話し合いでの交渉など もってのほか。血で血を洗うような戦いになるかもしれません。』


『なっ…!なんてことをっ。』

『そうなる前に我等が、上杉、武田の軍と落ち合い、元就の謀略を伝える必要があります。

間に合わなければ、そこにあるのは只、無駄な死のみ。』

(無駄な死なんて…。)

『無駄な死なんて無い!私が、そんな事させない。』


急いで甲冑を着ると陣の外に出て秀吉を探す。


『秀吉さん!』

『はっ、信長さま。』

『三成くんから事情は聞きました。私が、先にぶつかる武田軍に知らせに行きます。』

秀吉が目を見開く。

『なりません!武田信玄は信長さまの事を怨んでおります。

行けば火に油を注ぐようなもの!それだけはなりません!』


『…わかりました。では、武田信玄の元へは、秀吉さんが行ってください。

私は上杉謙信の元へ行きます。』

にっこり笑ってひなは言った。秀吉が目を見開いて呟く。

『くっ、謀りましたな!』

『元就じゃあるまいし、謀ったなんて人聞きの悪い。』

『解りました。しかし、さすがにお一人では向かわせられません。

政宗の隊と共にお行きください。』

『はい!』

笑顔のひなとは対照的に、肩を落とす秀吉の姿があった…。


(後半へ続く…。)

※懸崖撒手~勇気を出し思い切って物事を行うこと。
/ 361ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp