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イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第21章 上下一心(しょうかいっしん)


(相手は龍とか虎って呼ばれてる武将だよね。)

予想のできない不安に、ひなの顔が曇る。


『信長さま、どうか我々を信じて下さい。』

三成が、凛々しい表情で ひなを見つめながら言う。


気付けば他の武将達の視線も、ひなに集まっていた。


(ええっ!こ、これは…何かちゃんとしたこと言わないと、だよね。)

ひなは考える。

(…ううん、カッコつけても、私には本家・信長さまみたいなことは言えない…。)

唇を噛んで、ひなが 一回り武将達の顔を見て口を開く。


『私は…本能寺の変があってから記憶が不透明で(これは嘘じゃないよね。)

…色々忘れていたりして迷惑ばかりかけていると思う。

こんな私を見捨てずに今も殿って言ってくれる皆の事、もちろん信じてるし頼りにしてる。

私達なら、きっと勝てる!だから、ひとつだけお願い…。』


武将達が ひなの言葉を聞き逃すまいと更に身を乗り出す。

『怪我してもいい。家康がすぐに治してくれる。』

ね、と言うように視線を送ると、家康は強く頷き返す。


『だけど死なないで。』


戦国時代に、こんな無茶なこと言うのは、きっと自分だけだろうと自覚している。

それでも…誰にも死んで欲しくない。

『命を粗末にしたら…許さないからっ!』


目を潤ませながら言葉を紡ぐ。



((…か、可愛いらしい!))



その場にいた武将達は、場違いな感情を心に抱えつつ、

『『『…はっ!』』』

と短く返事をするのだった。





※上下一心~心を一つにして事に当たること。
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