第19章 宣戦布告
「戦いは避けられそうにない。兎に角、引き続き元就と龍虎(りゅうこ)の動向を探らせるんだな。」
本家・信長に言われ、ひなはハッと我に帰る。
(そうだよ、私は今、みんなにとっては信長なんだから。)
ぐっと下唇を噛んでから一気に喋り出す。
『光秀さん、暫くそのまま元就と信玄、謙信の同行を探って下さい。
政宗は三成と一緒に、また攻撃される事を想定して城の守りを固めて。
家康は、負傷者が出た時の為に薬と物資の補給を。
慶次は顔がばれちゃってるだろうから、なるべく商館には近付けたくないけど…。
この中では一番詳しいし、積み荷がどういう経路で何処へ運ばれているのかを危なくない程度に探って欲しい。』
『『『ははーっ!』』』
武将達が散り散りに広間を出て行く。
『あれ、そういえば蘭丸は?』
ひなは広間を出て廊下を見渡す。
廊下の角になにかある。紫色の小さな…花びら?
『これ、紫陽花?』
乱暴にむしり取られた花弁がバラバラと散らかっていて、ひなは激しい胸騒ぎを覚えるのだった。