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イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第19章 宣戦布告


もう一度、大砲のあった場所を見ると、その誰かはマントのような物を翻し森の中へ消えて行く。

これ以上、攻めて来る気配は無い。


「あの顔、見覚えがあるな。」

(わっ!)

本家・信長が同じように塀の上に立って言う。

(だから急に出てこないで下さいってば!)

「しかし、あやつは先の戦で死んだはずではなかったか…。」

『あやつって?』

ひなが小声で訪ねる。

「毛利元就。謀略王と呼ばれた男だ。」

『毛利 元就?』

『信長さま、今、なんと…?』

慶次が目を見開いている。


『信長さま!ご無事でよかった。お出掛けになられていたのですね。』

そこへ息を切らせて三成がやって来た。

『火急のご連絡ですが、光秀様が斥候を伴って今しがた戻られました!』

「ひな、すぐに軍議を開け。俺が隣で指示を出す。」

本家・信長の言葉に小さく頷くと、ひなはその場を見回して伝えた。

『今すぐに軍議を開きます。武将達を広間に集めて下さい。』

『御意!』

皆が急いで場内に向かう。



ひなは、みんなが集まる大広間の隣で、女中に用意させた黒地に扇模様の着物に着替える。

(さすがにピンク色の着物で軍議…って訳にはね。)

「そんな心配そうな顔をするな。この俺が側にいる。」

本家・信長がひなの顎をすくい、上を向かせる。

『うん。』

頷くと、ひなは しっかりとその目を見つめ返した。


袴の帯を締め羽織を肩に掛けると、ひとつ深呼吸をして大広間の襖を開く。




ザッ、と武将達が頭を下げて居並ぶ中を、ひなは進む。

高座に座ると一度みんなを見渡し告げた。
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