第19章 宣戦布告
言われた通り、ひなは安土城への道を小走りで帰っていた。
もう、あんな怖い思いは ごめんだと思いながら。
(戦国時代かー、なんてぼんやり考えてたけど…。)
『もう少し しっかりしなきゃ!』
自分に気合いを入れる。
やがて大手門が見えてきた。
見上げると、あの特徴的な天守閣がある。
(あとは気付かれないように、こっそり門を抜けないとね。)
辺りは既に薄暗く、夜の空気がひなの顔を隠す。
門前の橋を渡り、出てきた時と同じように、門番には女中のふりで やり過ごした。
『はー、よかった!案外 簡単に入れたー。』
喜び勇んで大手道を歩いていた時。
ドォォォォォォ…ン
遥か高いところから轟音が響いた。
『わっ!!なに?なんの音!?』
咄嗟にしゃがみこんだひなが、音のありかを探す。
『…天守が!!』
~~~
真っ赤に塗られた柱が目に飛び込んでくる。
そっと障子を開けると…
(…内側の柱は金色なのね。)
~~~
あの時は、ただその派手さに驚いていた…。
『天守が…崩れてる?』
(どうして!?)
訳が解らず呆然としているひなの目の前を光るものが飛び去り…。
ドォォォォォォン!!
また!?
ひなは塀をよじ登り、少し高い所から音のした元を辿る。
城下の森の中に一角だけ木が薙ぎ倒された場所があった。
目を凝らすと、車輪に支えられた大きな筒のような物が見える。
歴史の教科書でしか見たこと無いけど、あれって…大砲?