第1章 嵐の中へ
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(うーん…暑い…。
いくら6月になったといっても、これは暑すぎじゃないの!?)
どのくらいたった頃だろう?ひながパチリと目を覚ます。
『…へ?』
あまりの驚きに目を瞬かせた。
辺り一面、火の海だ。
(そりゃ暑いよねー。)
『…って納得してる場合じゃないよ、私!!』
ひなは慌てて立ち上がると、出口を探して ふらふらと歩きだす。
まだ頭がボーッとしていて上手く歩けない。
(一体ここは何処なの?何かの建物の中みたいだけど。
でもこの感じ、どこかで…。
そうそう、お盆に親戚の法事で行った…お寺?)
そんなことを考えながら適当に歩いていたひなだったが、壊れた壁の隙間から、なんとか外に出る事に成功した。
その背中では木材がガラガラと音を立てて崩れ落ちていく。
後退る ひなの目に、立派な看板の文字が飛び込んできた。
【本能寺】
(ほん のう じ…?
えっ、本能寺が燃えてる…?
でもそれって大昔の歴史上の事件だよね。)
『こ、♪これが…本能寺の変…?』
頭の中で、お笑いコンビが歌う軽快なリズムがこだましていた。