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イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第59章 傾国美女(けいこくのびじょ)


二人が言い合っている横で、ひなは着々と買い物を済ませた。



『ごめんね。買ったもの全部、持たせちゃって。』

ひなが言うと、

『気にするな。その為の荷物持ちだ。』

慶次が、白い歯を見せてニカッと笑う。

『光秀さんも、ありがとうごさいます。そういえば、用事はよかったんですか?』

『ああ。もう済んだ。ひな、お前が抱えている分も持ってやろう。』

『いーや、俺が持つ。見てた限り、お前は何にもしてないようだったが、一体なんの用だったんだ?。』

『気付かれないようにやっていたからな。』


ひなは、といえば、すっかりこの二人のやり取りに慣れ呑気に、冬の澄んだ空を見上げながら歩いていた。


『『…。』』


『あぁ〜、早く政宗の作った料理が食べたいなぁ。』

(うんうん、本当にそう。そういえば、政宗の作る、お正月料理は初めてなんだよな。

どんなのがあるのかなぁ。)

『結び昆布に煮物、それから政宗と言えば、やっぱり伊達巻かしら。』

(あ〜、伊達巻も美味しいよねぇ。)


『…えっ!?』

『などと考えているんだろう?』

(み、光秀さん!近いっ。)

驚いて空から視線を戻すと、目の前に光秀の顔がある。

『私の頭の中を盗み見るの、やめて下さい。』

『これはすまない。だが、盗んだのでは無く、お前が持って行けとばかりに顔から散らしていたぞ。』

(確かに考えてたけど!)

『さーさー、ひなの涎(よだれ)が垂れねぇうちに、さっさと城に帰ろうぜ。』

『涎なんて垂れないよ。』

(っていうか、言い合いながらもこの二人、意外と気が合ってるような気がするのは私だけかな。)




その後は、なんとか何事も無く城に帰り着き、正宗に食材を引き渡しす。

(はぁ、手伝って貰ってて何だけど、すっごく疲れた…。)


『光秀様、信長様がお呼びでございます。』

丁度その時、台所に光秀の家臣がやってきた。

『ん?解った。ひな、ではな。』

『はい。光秀さん、忙しいのに付き合ってくれて、本当にありがとうございました。』

ひなはもう一度深々と頭を下げた。。

『また何かあったら呼ぶがいい。いや、何も無くてもな。』

意味深な微笑を浮かべ、光秀は家臣の後に着いて、その場を去った。
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