第13章 番外編☆たのしい豆まき
ひなの悲鳴を聞いて、幸村が台所に駆け込んで来た。
幸村『大丈夫かっ、ひな!悲鳴が聞こえたけど…って、てめぇ、ひなの頬は食い物じゃねえっ!!』
ガシッと政宗を羽交い締めにしてズルズルと台所の端まで引っ張る。
幸村『大丈夫だったか?ん?なんだ、この旨そうな匂い…。』
ひな『幸村?』
どうしたの?急に黙りこくっちゃって…。
幸村の見つめる先には美味しそうな団子もちが積み重ねてあった。
なるほど、幸村はお餅好きだもんね。よーし、チャンス!
ひなが こっそりと豆を握りしめ、投げようとした。
幸村『甘いっ!おわっ…。』
ひな『きゃっ!』
その手首を捕んだ幸村が、勢い余ってひなの上に倒れこむ。
咄嗟に左腕で ひなを抱き抱えると、右腕を床につき片手腕立ての体勢になった。
幸村って力持ちなんだな…。そっと腕が解かれ床に降ろされる。
幸村『悪い、ひな!力、強すぎた。平気か?』
政宗も慌てて飛んで来た。
政宗『てめぇ、なにしてやがる!ひな、怪我してないか?』
ひなは起き上がり、俯いたまま「…いたた。」と呟いている。
幸村と政宗が心配そうにひなの顔を覗き込む。
ひな『…ほいっ!』
ピシッ!ピシッ!
政宗『いてっ!』
幸村『あいたっ!』
二人の おでこに ひなが撒いた豆が見事にヒットした。
ひな『えへへ、引っ掛かった~。二人とも…甘い!』
あははっと笑いながら、ひなは台所を出ていった。
幸村『あんのやろぅ!』
幸村は、おでこを擦りながら、その後ろ姿を見つめていた。
政宗『ははっ!まんまと騙されたな、仕方ねぇ。
真田幸村、お前、甘いもん好きなんだろ?餅でも饅頭でも気に入ったもん食ってけよ。』
幸村『え、いいのか!?』
甘い香り漂う台所では、不思議な友情が生まれていた。