第13章 番外編☆たのしい豆まき
ひな『あのぉー、お二人は何を?』
信玄『あぁ、ひなか。天女に気にされるなんて光栄だな。疲れたろう。少し休め。』
義元『見ての通り、茶を楽しんでいるよ。これは京都から仕入れた玉露。ひなも飲んでごらん』
優雅に誘われて、ちょこんと横に座る。
ひな『それじゃ、ちょっとだけ…。ん!甘味があって美味しい!』
義元『そうだろう?お茶も奥が深くて美しいね。ひなみたいだ。』
義元が やんわりと微笑みながら顔を寄せる。
信玄『おいおい、天女を独り占めとは頂けないな。』
負けじと信玄も顔を寄せる。
二人とも近いよっ!ひなは真っ赤になりながら、すっくと立ち上がり、
ひな『鬼は外!』
と二人の頭に豆を乗せる。
信玄『ん?』
義元『なんだか優しい豆撒きだね。いや、豆置き?かな』
ただのティータイムになる前に、ひなは広間を出る。
ひな『ええっと…後は…。』
台所の横を通りかかると甘い香りが漂っている。
何の香りだろう…あ、これって…。
ひな『あんこだぁ!』
思わず声をあげると、政宗は小豆の入った鍋をかき混ぜていた。
政宗『匂いに誘われて来たのか?』
政宗が、くっくっと笑う。
ひな『ち、違います!たまたま通りかかったら甘い香りがしたから…。』
政宗『それを誘われてる、って言うんだよ。可愛い言い訳だな。
炒り豆も旨いが、からっからの豆ばっかりじゃ、お前が物足りないだろうと思ってな。
豆は豆でも小豆だ。饅頭作ったから食ってけ。』
ほら、と政宗が寄越す。
ひな『あっつ!』
ひなは、ふーふーと饅頭を冷まして頬張る。
ひな『うん、美味しい!政宗の料理は間違いないね。』
政宗『ぷっ!似てるな。』
ひな『似てるって、私が?なにに?』
政宗『ああ。饅頭に。』
ひ、ひどいっ!ひなが ぷーっと頬を膨らませる。
政宗『くっくっくっ、ほら、そういうとこだ。その柔らかい 頬、食べたくなる。』
ぱくっ、とひなの頬を甘噛みする。
ひな『ひゃあっ!』