第13章 番外編☆たのしい豆まき
謙信『ひな?』
スパッ!スパパッ!!
ひな『う、嘘…。』
撒いた豆を、謙信が見事に真っ二つに斬っている。
謙信『斬られたくなければ、こっちへこい、ひな。』
ひな『普通は斬られたく無いです!』
ひなは少し考えると、明後日の方向に豆を撒く。
謙信『なにっ!?そこに誰かいるのか!』
謙信が早足で駆け寄る。無意識だろうが、ひなを背にして庇うように立ち刀を構えた。
謙信さま…。
その広い背中に、
ひな『やっ!』
ひなが1つ豆を撒く。
謙信『なにっ!?』
ひな『ごめんなさい、謙信さま!』
呆気に取られている謙信をよそにひなは走って その場を逃げ去った。
はぁ、はぁ…。本気で斬られるかと思って冷や冷やしちゃった。
息を切らして中庭に出ると、石灯篭に寄り掛かっている光秀が見えた。
ひなは、ゆっくりと背後から近付くと、光秀の頭に向けてそれっ!と豆を投げる。
ズガーン!
激しい銃声と共に、豆は木っ端微塵になって土の上に落ちた。
ひな『撃つ?そこ撃ちます!?当たったら どうするんですかっ!』
青くなりながら抗議するひなに近付いて顎を掬うと、涼しげな顔で光秀は答える。
光秀『あぁ、きちんと弾の威力は抑えてあるから安心しろ。』
出来ません!と言おうとした時、光秀がひなを抱き込むようにして身を翻した。
元就『おらぁっ!!勝手に いちゃついてんじゃねぇぞ!』
ドオォォォーン!!
その直後、元就の怒声と激しい爆発音がする。
慌てて辺りを見ると、広間の一角が崩れ落ちていた。
佐助『ピッピッピッピー!!元就さん、レッドカードです!
まったく、大砲なんてどっから持ち込んだんですか。
ひなさんが怪我するかもしれないような事は禁止です。
ちなみに、光秀さんの短筒もレッドカードに近いイエローカードです。
というわけで、お二人は失格!』
不服そうな二人を横目に、ひなは また廊下に戻る。
取り敢えず、誰も怪我しなくて良かった。
近くの襖をカラリと開けると、信玄と義元が呑気にお茶を飲んでいる。