第46章 番外編☆忍(しのび)だって目立ってみたい
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ここは安土の城下町。通りの向こうから、一際目立つ桃色の着物を着た蘭丸が歩いてきた。
町娘1『きゃあぁぁぁ~!!蘭丸さまよっ!』
町娘2『いやーん、今日も可愛いっ!』
町娘3『桃色のお着物も素敵過ぎるっ!』
蘭丸『ありがとう。君達も素敵だよ。その頬に口付けしたら、桃みたいに色付くのかな。』
バチン!
町娘達『あぁぁぁ…。』
蘭丸のウィンクに、町娘達が腰から崩れ落ちた。そこへ、買い物をしていたらしい、ひなが通りかかる。
ひな『わっ!なに、この人達。大丈夫ですか?皆さん!
えーっと、目の中にハートマークが…。蘭丸くん!?
桃色の着物、着てくれたんだ。わぁ、やっぱり すっごく似合うよ。』
蘭丸に駆け寄り笑顔で告げる。
蘭丸『本当?やった!ひなさまに誉められちゃった。』
蘭丸は、ひなの体を抱き締めて耳元で囁く。
蘭丸『誉めてくれたお礼に、ひなさまも気持ちよくしてあげたいな。』
蘭丸が ひなの唇を親指で優しく撫でる。
蘭丸『この唇に触れたら、きっと熟した桃みたいに甘くって俺、蕩けちゃうかもね。』
ひな『こんな往来で何言ってるの!もう、冗談ばっかり。』
蘭丸の腕を逃れようと身動(みじろ)ぐが、思いのほか強い力で抱き締められていて動けない。
やがて諦めたように溜め息をつく。
ひな『はぁ。蘭丸くんには敵わないなぁ。』
微笑むと、ひなは ゆっくりと目を閉じた…。
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佐助『…って、ひなさん、目を閉じちゃ駄目だっ。寝たら死ぬぞっ!』
蘭丸『は?』
蔵人『大丈夫か、佐助。急に大声を出して どうした?』
佐助『あぁっ、皆さん、すみません。ちょっと妄想が暴走しかけました。
というか、蘭丸さんは元からキラキラだから、これ以上煌めく必要なし!と判断させて頂きます。』
蘭丸『えー、そんなことないよ。俺も皆と一緒にキラキラしたいな。』
佐助『そんな仔犬のような目に騙されないぞ…。次、いってみましょう!』