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イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第10章 光秀


広間には、既に武将達が集まって朝御飯を食べていた。

『おはようございます、信長さま。』

『今日は よい日和ですね。』


口々に挨拶され、おはよう、そうだね、とひなも当たり障りのない返事を返す。


『信長さま、お加減は如何でしょう?』


いつのまにか背後に立っていた光秀に驚くひなだったが、平静を装いながらチラリと後ろを見やる。

『音もなく私の後に立つのはやめて。』

(信長っぽくしないといけないんだよね。

よし、まずは敬語を使わないようにしよう!)


『おや…いつものように『背後に立つと殺す』とはおっしゃらないのですね。

“やめて”だなんて可愛らしいことを。

しかし、やめてと言われると、やりたくなる性分でして。』

(どんな性分ですかっ!?)

『それじゃ、やれって言われたらやらないの?』

ひなが屁理屈のように尋ねる。

『やれと言われたら…喜んでやるまで。』


(…嬉しそう。)

ひなは、あんぐりと開いた口が塞がらない。

(光秀さんには まともに関わらないようにしよう。)


『光秀!お前、信長さまに向かって なんて口の聞き方をしてるんだ。』

眉間にシワを寄せた秀吉が、今にも飛びかかりそうな勢いだ。

一方の光秀も不適な笑顔を浮かべ怯む様子はない。

その様子を見ながら、やれやれ、とひなは上座に座った。

二人も続いて、ひなの それぞれ斜め前に座る。


戦国武将って血の気が多いなぁ、と考えながら用意された味噌汁に口をつけた。


『!!なんだか急に悪寒が…。』

光秀が呟いた。

(ん?どうしたんだろう?光秀さんの顔が青いような。)
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