第43章 天佑神助(てんゆうしんじょ)
『説明すると長くなりますので割・愛!しますが、スーパーセル…バカでかい竜巻が時空の扉をこじ開けます。
最悪の場合、俺とひなさんは引きずり込まれて、二度とこの時代には戻れません。』
(ホントだ。滅茶苦茶 割愛してる。割と愛の間の妙な間は…?)
『なんだと?』
『かといって逃げると、アレは勢力を広げて俺達を飲み込もうとするだけです。』
『それは本当か?信じられねぇ…と言いたい所だが、この期に及んで嘘はつかないよな。』
(…ん?待って。ということは…。)
たった今、閃いた考えを ひなが告げる。
『ねぇ、佐助くん。逃げると被害が拡大するんなら…。』
佐助も頷く。
『ああ、つまり近付けばいいのか。少なくとも俺達以外が被る被害は抑えられる。多分。』
顔を見合わせて同時に駆け出す。
『あっ、おいっ!お前ら何処に…。』
『政宗さん、城に居る皆さんは、なるべく城の中央に避難しするよう誘導してください!
で、この嵐が去るまで絶対に外に出ないように!!』
後ろ向きに走りながら佐助が叫ぶ。
(この速さで後ろ向きに走るって、今更ながら佐助くんの身体能力 半端ない!)
ひなも遅れないように小走りに付き従う。
途中すれ違う武将達には、急いでいる事だけを伝え『詳しいことは政宗さんに!』と丸投げした。
(ゴメン、政宗さん!今から大量に武将の皆さんが そちらへ向かうと思います。)
やっと城の玄関に辿り着くと、佐助は女中が用意した提灯を受け取る。
『え、佐助くん?馬の方が早いんじゃ…。』
『いや、まだ外は暗い。町に灯りも無いのに馬で行くのは危険だ。兎に角、行ける限り近付こう。』
その言葉に、ひなも提灯を手にする。玄関を出て、二ノ丸、三ノ丸と進む。
(ああ、もう、お城って なんでこんなに広いの!外に出るのさえ もどかしいよ。)
やっとの事で大手門を抜け京の町中を行く。
『ひなさん、きつくない?』
『きつくない!って言ったら嘘になるけど、頑張るよ。ゴメンね、佐助くんだけなら もっと早く走れるのに。』
佐助はひなの歩幅に合わせてくれている。