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イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第41章 掌中之珠(しょうちゅうのたま)


『あぁ?…ひなか。』

ひなが声を掛けたのだと気付くと、ちょいちょい、と元就が手招きする。

(側に来いってことかな?)

首を傾げながら元就の側へ向かう。

『どうかしましたか…わっ!』

言い終わらないうちに元就がぐいっ!とひなの二の腕を引っ張る。
胡座をかいた元就の腕の中に、ひなは すっぽりと収まってしまった。

(なっ!?みんながいるのに恥ずかしい!)

『ちょっと、もとな…!』

『しー…、お前が騒がなきゃ誰も気付きゃしねぇよ。ほれ。』

と、顎をしゃくる。

広間の中央では、お酒が入ってご機嫌になった武将や家臣達が楽しそうに踊っている。

(あぁ…全然こっち見てないわ。)

『な?』

『な?じゃないです。離してください!』

身じろぎながらも言われたとおり小声で元就に懇願する。

『くっくっ、交渉しようって相手の言うこと、素直に聞いたら駄目だろうよ。』

『えっ?あ…。』

(大声出して助けを呼べばよかったっ!!)

後悔に顔を歪めながら、なんとか元就の腕から抜け出し隣に座る。それを見て、元就は少し怒ったように言う。

『…そこまで この世の終わりみてぇな顔しなくってもいいだろうよ。』

(あれ?元就さん、拗ねてる?なんか可愛いかも。)

『あ、ほらこの巾着卵、私が作ったんですよ。って、大したものじゃないですけど。」

えへへ、とひなが笑う。

じっと巾着卵を見つめていた元就だったが、おもむろに箸で突き刺し己の口に放り込んだ。

(あ…。)

『あの、どう…ですか?』

『食える…な。』

(食える、って…。)

『俺が食えるって言ってんだ。察しろ。』


… … …

『元就…さんは飲まないんですか?』

『は?俺は俺以外が用意したもんは受け付けねえ。何が入ってるか解ったもんじゃないしな。気を付けるにこしたことねぇだろ。』

… … …


(確かに。自分が用意した物以外は飲んだり食べたりしない!みたいな事、言ってたよね。

と、言うことは…。)
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