第41章 掌中之珠(しょうちゅうのたま)
(誰かが…みんなが呼んでる。戻らなきゃ。帰らなきゃ。
大切な人達の所へ!!)
パチッ!
ふいに、気を失って倒れていたひなの両目が開く。
『ひな!』
『ひなさま!』
心配そうに回りを取り囲んでいた武将達に安堵の色が広がった。
『みんな…。』
ひなが視線だけを動かして皆の顔を確認する。
(あぁ、思い出した。ここが私の帰りたかった場所だ。)
『ただいま。』
☆[カッコ]誰が話しているか解ったかな??
(最初に本家・信長、秀吉、政宗、三成、慶次、少し空けて信玄、謙信、幸村、そして元就、佐助…でした(^^))
*掌中之珠~自分のいちばん大事な宝物。手の中に握りしめている大切な珠玉。
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一行は、秀吉の持城でもある近隣の伏見城で骨を休める。
ひなは「体は平気だから、すぐにでも安土に向かえる。」…と言ったのだが、どの武将も首を縦には振らなかった。
今、隣の大広間では、ささやかな宴が開かれている。
(改めて教えて貰ったけど、私の姿が急に消えて、入れ替わるように本家・信長さまが現れたんだ…。)
皆、今は過去の記憶が甦り、信長や佐助の説明もあって、一連の不可思議な現象にも納得してくれているようだ。
『まったく、あんたって本当…以下同文。はい、袖通していいよ。』
『ええとー、度々?重ね重ね?って一緒のことか。
…ごめんなさい。手当てしてくれて ありがとう。』
家康も遅れて伏見城に登城していた。口には出さないが相当 心配してくれたんだと解る。
記憶には無いのだが、左肩には銃創が、右手の親指には刀傷があった。
それを、伏見城に到着後すぐに家康が処置したのだ。
(私、どんな大暴れしたんだろう…。)
二人で大広間へ入り、空いていた三成の横に座った。
『幸いどっちの傷も浅いから、そうかからずに治癒すると思うけど…なんかもう、ひなと怪我は番(つがい)だね。』
呆れながらも家康が微笑む。
『怪我と仲良し、ということですね。さすが家康さま、上手いことを仰います!それならば、私と家康さまも番ということでしょうか。』
瞳をキラキラ輝かせながら三成が言うと、
『お前は黙ってて。うっとおしい…。』
家康がいつものツッコミを入れる。