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イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第39章 再寒松柏~帰蝶 商館編


仰々しく巻かれた包帯が綻び、腕が見えている。だが、そこから見える腕は明らかに自分のそれとは違う気がする。

(私、こんなに筋肉ついてたっけ…?)

そっと包帯をほどく。

(嘘っ!?これって、どう見ても男の人の腕…だよね。なんで…。)

そこまで考えて思い当たる事があった。


… … …

『これは俺の推測だけど、みわさんと信長さまの体は繋がっているんじゃないかな?

つまり片方が薄くなれば、もう片方が濃くなる、みたいな。』

… … …

『信長…さま?』


『あ?「信長さま」は てめぇだろ。何惚けたこと言ってるんだ?』

元就が 訝しがる。

その時。


ズガーーーン!!


思考を裁ち切るように銃声がこだまし、窓を撃ち抜いた。割れたガラスが部屋中に飛び散る。


『きゃーっ!』

『誰だっ!』

元就が叫ぶと、正面の暗闇から ひとつの影が浮き出た。


『帰蝶?』


『和睦など糞食らえだ。終わらせない…この乱世を続けるのだ。』

何かをブツブツ言いながら窓に近付き、また銃を打った。


ズガーーーン!!


一瞬の出来事に 誰も反応出来ない。ひなの左肩が後ろに吹き飛ばされる。

その勢いのまま、背中でテーブルをなぎ倒した。

『帰蝶め…やってくれる。』

謙信が素早く刀を抜き、帰蝶の喉元に突き立てた。

『…動くな。僅かでも動けば、己の体を地べたから仰ぎ見る羽目になるぞ。』

いつのまにか木から降りてきた兼続が、帰蝶の手から銃を払い落とし後ろ手に縄で縛った。


『ひな!おい、大丈夫かっ!』

吹き飛ばされたひなの体に駆け寄り元就が叫ぶ。だが、そこにひなの姿は無い。

ゆらりと起き上がった体は逞しく、獰猛(どうもう)な眼をしている。

『誰だ、貴様…。』


『やっと戻ったか。』

首を回しながら低く呟くのは、本家・信長 其の人だった。

『戻った、だと?』

動揺する元就を一瞥すると、窓から階下にいる武将達を見下ろした。

『久し振りだな、信玄。』

『…信…長?』


夜の静けさを、ざわめきが埋め尽くす。その様子を見て佐助が言った。

『信長さまの姿が、みんなに見えてる…?ってことは!』
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