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イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第39章 再寒松柏~帰蝶 商館編


『ん?さっきから何か妙な感じがしてるんですけど…帰蝶さんって外国に行かれた事ありますか?』

『いや。貿易はしているが、まだ行ったことは無い。何故そんなことを?』

『さっきから直々、外国語というか、日ノ本の言葉ではない単語が話の中に出てきたので…。』

少し驚くように目を開くと、帰蝶が感心するように呟く。

『ふーん、さすが信長さまと言うべきか。これは外国語ではなく、この国の言葉。ただし、今より ずっと先の、ですが。』

(え!?…今よりずっと先って…。)

『数百年後の日本、とか?』

(そんなわけ無いか。)

ははっ、と笑いながら ひなが目を逸らす。


『…「日本」だと?』


それまでソファーに深く腰掛け、興味なさげに話していた帰蝶が立ち上がった。

ひなに近付き耳元で囁く。

『もしかして貴方も、どこか別の時代からやってきた…と?』

(えっ、『あなたも』って言った?)


その時、再びカチャリと扉が開いた。

(また誰か来た!?)

顔を向けると、そこには元就が立っていた。

『おっと、逢瀬の邪魔したか?帰蝶。』

元就は からかうように軽口を叩く。そしてひなを見据えるとニヤリと笑った。

『ああ、今からいい所だったんだがな。』

相変わらず耳元で囁く帰蝶にひなは戸惑う。

(ち、近いよ!)

『ふっ…それでは また後で。』

そういうと帰蝶は「チュッ」とひなの耳に口付けた。

『なっ…!!』

ひなが慌てて耳を押さえる。

『照れる事では無いでしょう?安土にいた頃は、毎夜ご奉仕していたではありませんか。』

『ご奉仕って!?』

真っ赤になるひなを気にする様子もなく、帰蝶は「用が出来たので後は頼む。』と告げ、部屋を出て行った。


『へぇ、可愛い顔してても、さすが信長さま。好き者なんだな。』

わざとらしく、感心するように元就が声をあげる。

(ううっ、否定すると余計からかわれそう。黙っとこう。)
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