第37章 百花繚乱(ひゃっかりょうらん)
三人は背中合わせになり、じりっ、じりっと間合いを詰める男達を見据えていた。
掻き分けるように、男が一人ひなの前に歩み寄る。
(あっ…。)
『また会えましたね、お殿様。』
白い手袋をはめた右手を胸に当て、執事よろしく会釈する。
『…毛利元就。』
クックックッ、と元就が銀髪を揺らして笑う。
『今ここで、こいつらが銃を撃ちまくって暴れたら…貴様が宝だと言う民は どうなるだろうなぁ?
空にも地にも真っ赤な花が咲いて、さぞ美しいだろうよ。』
ひなが ぎりりっと奥歯を噛み締めると、元就は続けて言う。
『解ったなら大人しく一緒に来て貰おうか。』
胸に当てていた手をひなに向けて差し出す。
『させるか!』
秀吉がその手を掴もうとするが、一歩早く固いもので払い除けられる。
銃で払い除けられたのだと気付くが、それは思いも寄らない相手だった。。
『光秀っ!?お前、何をする!』
目を見開く秀吉を冷静に見つめると、光秀は さらりと告げた。
『まぁ、そういうことだ。』
『きゃっ!』
言いながらひなを横抱きにすると素早く後退りした。
『悪いな、秀吉。』
『待て!!』
秀吉が追い掛けようとするが、元就の手下達に阻まれて思うように進めない。
二人の姿が あっという間に、花火客の波にのまれる。
『幸村、受け取れ!』
ゴウッ!!
その時、風を切って頭上から十文字槍が降ってきた。
『おわっ!佐助!?』
幸村は しっかりと槍を受け止め握り代えると、取り囲んでいる手下達に向かって振りかざす。
『『『ぐはっ!』』』
数人が まとめて吹き飛んだ。
秀吉も刀を抜き応戦する。
次第に辺りが ざわつき始めた。
『用は済んだ。引け!』
元就の合図で手下共々 足早に走り去る。後には呆然と立ち尽くす秀吉達の姿。
ドォォォーン!
ドドォォォォォーン!
ぱらぱらぱらぱら… … …
大輪の花火が嘲笑うかのように ただ、皆の顔を照らしていた。
※長~い章になってしまいました!!
飽きずに読んでくれて、ありがとうゴザィマス♥️