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イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第38章 最寒松柏(さいかんのしょうはく)


~~~既に花火の打ち上げは全て終わった湖の畔(ほとり)、観覧席として作られた天幕の中で~~~



ひなが光秀に連れ去られた事は、織田軍の武将達にも急ぎ伝えられた。

天幕の中に集う織田、武田、上杉軍の面々は皆、厳しい顔で黙り込んでいる。


秀吉が重々しく話しだす。

『これは俺の責任だ。もし…、もし信長さまに何かあれば、この腹 斬って詫びを…。』

『お前だけのせいじゃないだろう、秀吉。現にお前は怪しい奴らの小競り合いを鎮める為に信長さまの側を離れたんだ。

きっと、信長さまが一人になるように仕向けたんだろうよ。』

政宗が労るように声をかける。

『しかしっ…。』

『いつまでも自分を責めてばかりでは話が進まないぞ。

詫びなら奴が戻ってきてから腐る程言えばいい。兎に角、無事に救い出す方法を考えよう。

元就側から何か連絡は?』

信玄が冷静に話を進める。

『いえ、まだ特に何もございません。ですが光秀さまが絡んでいるとすれば、もしかすると…。』

そこまで言って三成が言い淀む。

『なに?思い当たることがあるんなら、さっさと言えば。…三成の予感は結構 当たるでしょ。』

家康に即され「ただの勘ですが」と続ける。

『もしかすると、足利義昭さまが首謀者なのでは無いかと。』

皆が一斉に三成を見る。

『義昭さまは、将軍職にありながら、実質 政権を動かしているのは信長さま。

そのせいで名前だけの将軍と呼ばれていることは皆が周知の通りです。

そして、それを大層 不満に思っていることも。あの方なら、憎い信長さまをどうにかしようと考えても不思議ではありません。』


『なるほどな。身の程知らずの与太郎が、逆恨みの果てに人さらいまでやったということか。』

黙って聞いていた謙信が、心底 軽蔑するように吐き捨てた。

『義昭が身を隠すとすりゃあ、帰蝶が今、潜伏してる大阪の商館か…京の二条城…?』

疑問を投げ掛ける慶次に、他の武将達も頷いた。
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