• テキストサイズ

イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第5章 政宗


ぐー。


…悩んでいても お腹は減る。

(せっかく政宗が作ってくれたんだ。暖かいうちに頂こう。)


『…んっ!?美味しい!』

青菜と卵が入っているお粥は見た目では解らないが、しっかりと出汁が効いていてとても美味しい。

(政宗って料理上手なんだ。なんかホッとする味だなぁ。)


『信長さま、失礼致します。』


誰かと思えば、今考えていた政宗、その人だった。


『粥のお味は如何でしょう?』


『うん、すっごく美味しいよ。』

笑顔で ひなが答えると、一瞬 政宗が目を見開いて、


『信長さまがおかしいっていう、秀吉の意見は正しかったんだな。』

とブツブツ呟いている。


『何がおかしいって?』


ひなが思わず尋ねる。


『いえ、秀吉のやつが「信長さまは本能寺を後にしてから意識が混濁しているようだ」と騒いでいまして。

俺も、信長さまには「料理の味などどうでもよい」と言われた覚えしか無いもので驚いていたところです。』


(こんなに美味しい料理をどうでもいいなんて。

信長さまって どんな人だったの!?にしても秀吉さん、鋭いな。

あ、アナタハダーレ?って聞いちゃったんだっけ。)


『うん、実は少しね…。火事が衝撃的だったせいかな、忘れてしまっていることとかあって、ね。』


(うっ、我ながら下手な言い訳。)


『へぇ~、変われば変わるもんだ。子供も平気で殺せと言う信長さまが、火事に驚くとはね。』


(滅茶苦茶 怪しまれてる?)


『面白い。信長さまも一応、普通の女子(おなご)だったということですかね。それでは、ごゆっくり。』

唇に笑みを浮かべ政宗が部屋を出た。



ピシャリと障子を閉めて、

『今の信長さまも、なにやら楽しませてくれそうだな。』

とニヤリと笑った。
/ 361ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp