第4章 三成
程無くして三成がやってきた。
『信長さま、失礼致します。入っても宜しいでしょうか?』
『あぁ、うん、どうぞ。』
ひなは また慌てて横になる。
暖かいお粥を乗せた盆を持って、三成が ひなの枕元に座る。
『暫く食べていないのに、いきなり固いものは良くないだろうから、と。
政宗さまが粥を作って下さいましたので、こちらに置いておきます。』
『ありがとう。三成…くん。』
『え?』
三成が きょとんとした顔をする。
『あぁ、すみません。いつもは『三成ー!』と大声で呼び捨てにされていらっしゃるのに…と、
なんだか不思議な感じが致しまして。』
(信長さまって一体…。)
『今度から「三成くん」でもいい?』
『えぇ、私はもちろん、なんとお呼び頂いても構いません。
お呼び頂けるのが嬉しいですから。』
三成が無自覚の色気を振り撒きながら去っていった。
(あぁ…信長になりきるって具体的にどうしたらいいの。)
立ち上る湯気を見つめながら、ひなはまたひとつ溜め息をついた。