第36章 狂乱怒涛(きょうらんどとう)
『信長さまが、うつけと言われるのも解る気が致します。失礼。』
そう言って無表情で その場を去る光秀を見送り、ひなが本家・信長に問う。
(これで大丈夫ですよね?)
「ああ。瞠目(どうもく)すべき花火が打ち上がることだろうな。」
まるで未来を予測しているような目で、本家・信長が言う。
『さて、それじゃ私達も準備を進めないと。』
ひなはポンと膝を叩いて立ち上がった。
… … …
湖畔で行われる大花火大会の為に、物品の調達や場所の整備など、それぞれ得意分野とする武将達に振り分けていく。
『花火玉の用意は家康と政宗にお願いするね。』
『おぅ!ド派手なのを山のように用意しとくぜ。』
『はぁ…。戦の準備も忙しいのに、なんで花火の準備まで俺達がしないといけないんですか。
そもそも戦の前に花火って…。』
家康が言い終わる前にひなは言葉を続ける。
『場所の整備と、当日のお客さんの整理、そして一番大事な警護は、秀吉さん、三成くん、慶次で分担してくれるかな。』
『『『はっ。』』』
『いや、みんな素直過ぎでしょ。』
家康の小さな囁きに くすっと笑いながら、ひなが大きな声で言った。
『さあ、忙しくなりますよ。戦の準備も花火大会の準備も、どちらも手を抜かずにやりましょう!』