第35章 軍事同盟
『では俺もこのへんで。例の件はまた改めて。ごめん!』
タタッと壁を蹴ったかと思うと、佐助は あっという間に天井裏に消える。
「あの忍、飄々としているが、かなりの手練れと見た。敵にしておくには惜しいな。」
天井を見上げて本家・信長が呟いた時…。
スススッと再び障子が開き、静かに誰かが部屋へ足を踏み入れる。
本家・信長は咄嗟に息を潜める。
『妙だな。確かに信長さまの他にも声が聞こえたのだが。』
そこに居たのは光秀だった。しばらく何かを考えるように その場に留まっていたが、部屋の隅々を見渡すとクルリと向きを変える。
『この間から誰と話しているのだか…。新たな忍でも囲ったか?これは早く手を打たねば。』
自分に言い聞かせるように囁くと去っていった。
「…狐め。貴様こそ何を企んでいる。どこぞの落ちぶれた輩にでも餌付けされたようだな。
俺は こっちを探ってみるか。」
本家・信長も、光秀に続いて そっと部屋を去った。
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ひなが軍義の行われている広間に戻る。
『信長さま、お帰りなさいませ。もう粗方 戦の方針も決まりそうです。』
にっこりと三成が微笑む。
『ごめんね、三成くん。すっかり任せっきりにしちゃって。秀吉さん、遅くなって すみません。』
『構いません。それが俺達の仕事ですから…って、なんですか、その腕は!?』
(あ、やっぱり秀吉さんが真っ先に気づいた。)
本家・信長達との やり取りを思い出して笑いそうになるのを堪える。
『うん、席を外している間に色々考えてたんだけど…。』