第35章 軍事同盟
ん?なにか違和感が…。
『あれ?佐助くん、信長さまと話せてない?』
ひなが言うと、佐助は首を傾げる。
『…そういえば。』
「確かにな。」
本家・信長も同意する。
『あぁ、今日は感動し過ぎて眠れないこと請け合いだ。』
佐助くん、喜びに震えてる?
『あっ、ごめん!ひなさん達が大変な時に。』
『ううん。佐助くんの盲目的な所を見れて、私はちょっと楽しいよ。』
普段と違う佐助の姿を見て嬉しかったせいか、先程の恐怖が少し薄れていた。
『それに、起こっちゃった事を嘆いても仕方ないから、この先どうしたらいいのかを考えることにする。
兎に角、この左手を上手く誤魔化さないと…。』
うーん、と考え込んでいると、それなら、と佐助が白布を差し出した。
『これを包帯替わりに巻いておくといい。』
『この布、何処から出てきたの??』
『怪我をした時の為にと思って、たまたま持ってた。』
そう言いながら、布を細長く裂く。
包帯状になった布を受け取り、ひなが きごちなく左手に巻いていく。
(包帯巻くのって意外と難しいな。)
「貴様は本当に不器用の才があるな。」
見かねた本家・信長が、ひなの手から白布を奪い、改めて綺麗に巻き直した。
『凄ーい!ありがとうございます。信長さまって器用なんですね。』
『これくらい普通だろう。とはいえ、いきなり布なんぞ巻いていたら秀吉辺りが大騒ぎしそうだな。』
『確かに。』
その情景が目に浮かぶようだ。
『あっ、それじゃ、この状況を逆手に取ったらどうでしょう?
今、軍義に参加している武将達意外に「信長は前の戦いで負った傷の具合が悪い」と思わせるんです。
きっと相手は、それに漬け込んで攻めてくるはず。
そこを一網打尽に!…って、そんなに上手く行くわけないですよね。』
立てた指を そっと降ろすと、えへへ、と笑って二人の顔を見る。