第35章 軍事同盟
『…◯△□??!!!!!』
次の瞬間、佐助が声にならない声を上げる。
『ど、どうしたの、佐助くん!?』
『み、見え、見え…』
(みえみえ?)
「この忍にも俺が見えるようになったらしい。」
『えっ!!』
『あぁ、リアル信長さま…。なんて神々しいんだ…。』
佐助の目が逝ってしまっているのは気のせいだと思いたい。
『それじゃ、信長さまが何を言ってるかも聞こえるの?』
『あー、いや、残念ながら声までは無理みたいだ。』
『そっか。』
(でも私以外の人に信長さまの姿が見えるなんて驚きだな。佐助くんの「愛」ゆえかな。)
「ところで、ひな。貴様、体調が悪いようだな。」
本家・信長が、ひなの方に向き直り尋ねる。
『いえ、たいしたことありませんから!』
ひなは笑顔で答えたが、
「貴様には見えていなくとも、俺は側にいるのだ。嘘は通用せん。」
と言われ反論出来ない。
(うっ、見えないと油断して、心の中で色々呟いちゃうんだよね。)
作り笑いを浮かべたまま、ひなは固まっていた。
『あの…さ、すごく言い辛いんだけど…』
視線が定まらない様子の佐助が言う。
『なに?佐助くん。いいから言って。』
佐助が困った顔するなんて珍しい、そう思いながら、ひなは先の言葉を即す。
『ひなさんは、さっき、信長さまの体が透けてたって言っただろう?』
『うん、そうだけど。今はハッキリ見えてるよ。』
佐助は、スーッと ひとつ息を吸うと、ひなを見つめた。
『ひなさん、自分の左手を見て。』