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イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第35章 軍事同盟


人気のない部屋の中に入る。

部屋の角に重ねてある座布団を、佐助が数枚 広げて置いた。

『ひなさん、壁に寄りかかった方が楽?』

うん、と答えて座布団の上に座る。

『じゃあ、佐助。後は頼んだよ。俺は先に広間へ戻る。』

『ありがとうございました。義元さん。』

艶のある微笑みを残して、義元が部屋を出て行く。


障子が閉まったことを確認すると、佐助がひなに尋ねる。

『信長さまに…何かあった?』

(佐助くんも鋭いな。)

『うん…。私が この時代にいるせいで…私のせいで本当の信長さまが消えちゃうかもしれないの!』

声は抑えながらも、ひなが強く訴える。

『信長が消える?』

ひなは数日前の事を 一通り佐助に話した。



『…なるほど。状況は理解した。ちなみに、今、近くに信長さまは見えるの?』

ひなは、ゆるく首を振る。そして、そっと呼び掛けてみた。

『信長さま。信長さま?』

ふわりと空気の動く気配がした。気配のあった方を見つめると、口の端を上げて信長が佇んでいる。

「やっと呼んだか。」

『信長さま!』

ひなが、ほっと息をつく。

(良かった!元気そう。)

佐助が わたわたと部屋中を見回した。

『ひなさん、今、この部屋に信長さまが居るんだね!?』

その瞳がランランと輝いている。

『…佐助くんって歴史&武将オタクだったね。』

「オタ…ク?」

『あー、大好きって意味です。そうだ!そういえば信長さまもスーパーセルを見たいって言ってたんでしたね。』

バタバタして忘れていたが、本家・信長が前に言っていたことを思い出した。

『えっ!?信長さまがスーパーセルを?いや、もう何でも見せちゃいます、はい。』


『佐助くん…いつもの冷静さは何処へ?』

『ふっ。変わった忍だな。気に入った。』

そう言うと、本家・信長が佐助の肩に手を置いた。
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