第35章 軍事同盟
その後、三者は正式に和睦の書面を交わした。
最後に、ひなは 右手の親指に小刀で傷をつけ、血判を押す。
(私の血判で…いいのかな。)
素朴な疑問も感じたが、本家・信長の代理ということにしておこう。
懐紙で血を拭いながら、信玄と謙信の顔を見る。
『早速で申し訳ないのですが、小休憩のあと、毛利・顕如軍討伐の作戦会議を行いたいと思っています。
いかがでしょうか?』
二人共に「もちろんだ。」と快諾してくれた。
~~~ ~~~ ~~~
半刻ほどたった後、織田、武田、上杉の三軍が また広間に集う。
『それでは早速、作戦会議を行う。』
進行は秀吉が かって出た。
(軍義の話なら三成くんが適任だよね。)
ひなは三成を呼び尋ねる。
『三成くん、私達 織田軍の代表を任せてもいいかな?』
三成は ふんわりと微笑むと、
『信長さまの名とあらば喜んで。』
と短く答えた。
『秀吉さん、少しだけ席を外します。』
軽く頭を下げる秀吉に、『よろしく。』とだけ言うと、ひなは そっと広間を抜けた。
廊下を少し行った所で、力無く座り込む。
(今朝からフラフラするんだよね。今まで立ちくらみなんてしたことないのに…。緊張し過ぎたせいかな。)
柱に手をつきながら、ひなは なんとか立ち上がる。
(困ったな。大事な軍義の日だっていうのに。)
『大丈夫かい?ひな。』
後から、誰かがひなの片腕を掴んで支えてくれた。