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イケメン戦国/お殿様!って言わないで

第35章 軍事同盟


『謙信さまが信長に助け船など出す必要は無いのでは?』

兼続が冷たく言い放つ。


(助け船…ということは、信玄達に詰め寄られていた私を庇ってくれたってこと?)

素っ気ない優しさに触れ、ひなは胸が暖かくなるのを感じた。

居住まいを正すと改めて話し始める。。


『話が反れました、申し訳ありません。それでは早速ですが本題に入ります。』

居並ぶ武将達が一斉に こちらを向く。


『今日、皆様に集まって貰ったのは他でもありません。

先日の毛利元就との戦で、私達がバラバラに戦うことは、相手に付け入る隙を与えるだけだと確信しました。

私達が今、鎮圧すべきは毛利元就、そして手を組んでいる顕如です。』

そこで一度 広間に集まった武将達を見回す。

『それぞれ思うところはあるでしょうが、今はどうか この和睦に応じて貰えないでしょうか。』

ひなは静かに高座から降りると、そこに座り直し頭を下げた。

広間がざわめく。

『ちょっと、信長さまが頭下げるとか前代未聞なんだけど。』

呆れたように家康が言う。


『…ん?』


不思議な空気を感じて、ひなが ゆっくりと顔を上げる。

秀吉は口をパクパクさせているし、幸村は大きな目を更に大きく見開いている。

『くっくっくっ。ま、あの信長さまが こう仰られているのですから…

ひとまず休戦ということで、よいのでは?』

光秀が信玄と謙信の顔を交互に伺う。


『…そこまでされては、うんと言うしかないだろう。

顔を上げてくれ、ひな。』


更に織田軍の武将達がざわついたが、ひとまず脇に置いておき、ひなは信玄に礼を言う。

『信玄さま、ありがとうございます。』

フッと息を吐いて信玄が頷いた。

『俺は先に「いい」と言ったぞ。』

背後から謙信の声がする。

ひなは少し横にずれ後を向くと、同じように礼を言った。

『謙信さま、ありがとうございます。』
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