第3章 七松小平太
「よーし、これだけ離れていたら大丈夫だろう」
『はぁっ…はっ…はぁ……』
既に虫の息で膝に手をついている私とけろりと平気そうにしている七松先輩にすごいなぁ…なんて関心しながらふらふらと近くの木にもたれ掛かる。
小松田さんに出門票にサインをして外に出た瞬間、全力疾走でこの前鉢屋先輩ときたところよりももっと遠くの山にやってきた…ここ何処らへんだろう…
途中から気を失っていた気がする…それくらい記憶がない。
「さて、休憩をしたら始めるぞ!」
『はっ、はい…!』
ニコリと笑う先輩に思わず背筋を伸ばして返事をする…
「ところで、鉢屋三郎とはどんな情事をしたんだ?」
『えっ…え!?!?』
「おぉ、今日一大きい声を聞いたな」
『そ、そんなことはどうでもいいです…!なっ、なぜじょ、情事のことを……』
「なんだ、なんとなくだったんだがやはりしたのか」
『なんっ…!?』
野生の勘の様なものでもあるのだろうか、この先輩には…何となくで分かるものなのか…自分で墓穴を掘ってしまったのがとても恥ずかしい…
「私達も房中術は実習ではしたことがなくてな…ちょうどいい、お互いの為になるだろうしやってみるか!」
『肉を引き裂かれそうなのでちょっと遠慮したいです』
「遠慮するな!さぁ、やるぞ!」
『(話聞いてくれない…!)』
こんな事ならまだ鉢屋先輩のままでもよかったかもしれない…