第2章 桜井 良
スラリとした、爪の先まで真っ黒な黒猫を抱えたさんが写っている写真。
そして、携帯のアプリでも使ったのか、写真にはさんの名前と、その猫の名前らしき文字が書かれていた。
そして、その下にまた文が。
[桜井くん、どう?
これがうちのハルくんです!
この辺りの猫さん達をまとめてるんだよ。
最近は可愛い奥さんも出来ました!
赤ちゃん猫の顔を見るのが楽しみです。
今度、ハルと遊んであげてね。
元気が出たら、嬉しいな。
また明日、学校で会おうね!]
何度も何度もその文面を読み直し、写真と見比べ、そしてようやく理解する。
「『ハルさん』は、飼い猫の事だったんだ……」
……あれこれ悩んでいた自分が馬鹿みたいだった。
ほっとして、思わず笑ってしまう。
「……あ、メールの返信しておかなきゃ」
少し考えて、メールを打つ。
送信ボタンを押し、携帯を仕舞う。
口元が思わずほころんだ。
「伝わると、いいな……」
「ん?」
お風呂から上がった丁度その時、携帯がメールの着信を告げる。
「桜井くん……」
パッとメールを見て、首を傾げる。
[分かりました。是非一緒に遊びましょう。
楽しみです。
月が綺麗ですね。
返事は、明日聞かせて下さい]
「……んんん?」
シャッ、と部屋のカーテンを開ける。
月は、分厚い雲に覆い隠されていた。
もしかして、と思いつき、ネットに検索をかける。
そしてその瞬間、は自分の予想が的中した事を知り、顔を真っ赤にした。
(桜井くん、)
(昨日の返事、聞かせてもらえますか?)
(__よろしく、お願いします……っ!)
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