第5章 心通う
~夢主side~
義勇さんからの突然の告白に、どう反応したらいいかわからなかった。
昔から"お兄ちゃん"だと思っていた、義勇さんに「好きだ」と言われた。
「俺の隣で笑っていてくれないか?」
そう言われると、義勇さんが私のことを理解した上で、そう言ってくれてると分かった。
こんな時でもあなたはなぜそんなに優しいのか…
「義勇さん……私っ…」
言葉が見つからず、目が泳ぐ。
「…ふっ、すまない。困らせるつもりはなかった…返事はまた聞く。ほら、帰るぞ?」
義勇さんがそう言うと、こちらに背中を向けてしゃがむ
「え…?」
「その足だと歩きづらいだろ?それに鼻緒も切れてるから、この方が早い。」
そう言うので、少し遠慮がちに返事をした
「…ん。ありがとう…」
義勇さんにおんぶされながら、来た道を戻る。
「懐かしいね…」
「そうだな、子供の頃はこうやってよくお前をおぶって歩いたな。昔に比べて随分と重くなった」
と、冗談交じりに言う義勇さん。
「ちょっ、ちょっと!流石にひどいでしょ、それは!!」
バタバタと足を動かして怒ると
「…っふ、くくっ。冗談だ、あまり動くな落ちるぞ。」
そう言われたので大人しくすることにした。
そっと義勇さんの優しくて大きな背中に頬を寄せ
「義勇さん…ありがとう。」
そういい目を伏せた。
しばらく歩いていると、すれ違う人はまばら。
だけどすれ違いざまにチラチラとこっちを見てくる。
少し恥ずかしい…
「…ぎ、義勇さんやっぱり私、降りて自分で歩くよ!は、恥ずかしいもん……」
「怪我人は黙っていろ」
「で、でも!怪我人ってレベルじゃ…」
"レベルじゃない!"と言いきる前に後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。
「陽奈子っ!!!」
大好きな、あの人。