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し ん あ い【鬼滅の刃/煉獄/R18】

第5章 心通う



~煉獄side~


陽奈子とはぐれてしまった俺はあちこち探して回る。

電話をかけても繋がらない。


履きなれない下駄のせいで、走りづらい…

「(くそっ、どこにいるんだ陽奈子!!)」


下駄を脱いで走ろうと、脱いだ下駄を拾おうとしたとき、陽奈子に渡したはずの簪が落ちているのを見つけた。

「これは…陽奈子に渡した、簪…どこにいる陽奈子…」


俺はその簪をぎゅっと握りしめてまた走り出す。




しばらくすると、陽奈子の後ろ姿を見つける。

誰かにおぶられていた。

「陽奈子っ!!!」

叫び名前を呼ぶと振り返る。


「冨岡…」

陽奈子をおぶっていたのは、冨岡だった。
振り返った冨岡は、怒りの眼差しを俺に向けていた。

まるで「今更なんのつもりだ?」と言わんばかりに…




「(よもや…そうか、そうだったんだな冨岡。)」

『陽奈子を想っているのはお前だけだと思うなよ』

あの時言われた台詞を思い出し、冨岡は陽奈子に想いを寄せているのだと理解した。



だか、俺は引くつもりは毛頭にない。

初めてこんな気持ちを知ったのだ。

こんなにも陽奈子が大切で仕方がない。




「!!杏寿郎…っ、」

俺の名前を呼ぶ陽奈子は、少し悲しげだった。


すると急に冨岡がため息をはいて、陽奈子を下ろす。

「わっ!ぎ、義勇さん?!」

「あとは、自分でなんとかしろ。煉獄、隙があったら奪うからな」

そう言うと、歩いて行ってしまった。


「…あ、あの、杏寿郎…ごめんね?はぐれちゃって……」


陽奈子が謝ってくる。

が、謝るのは俺の方だ。


こんなにも大切な人の側にすら、いられなかったなんて…
怪我までさせてしまった



そう思うと自身に腹が立ってくる。

何も出来ない歯がゆさなのか、鈍すぎる自身になのか…


俺は陽奈子を横抱きに抱える。


「ぅっわ!!ちょ、杏寿郎!?やだ、降ろしてっ、はずかし…」

「すまないが。少し黙っていてくれるか」


少し強めに言うと、陽奈子が驚いた表情をして黙る。

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