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し ん あ い【鬼滅の刃/煉獄/R18】

第5章 心通う




~冨岡side~


祭りに出店を出していた俺は、忘れ物を取りに戻った。

その帰りに、ベンチに腰をかけている陽奈子を見つけた。



俺も祭りに誘われたが、出店のことがあったから断った。


みんなで祭りに行ったはずの陽奈子が、なぜ一人でいるのだろうか…

聞くと「はぐれた」らしい。
足には怪我もしていた。

ただはぐれただけではなさそうだ。



陽奈子は昔からわかりやすい。
特に顔に出やすいから、すぐにわかる。


「それで、お前はなぜ泣いている?」

「…な、泣いてなんか……」


誤魔化してもバレバレなはずなのに、こういう時は嘘をつく。
その癖も昔と変わらない。

恐らく陽奈子の"想い人"と、何かあったんだろう…
なんとなくそんな気がした。


「義勇さん…」

「なんだ?」

俺の名前を呼ぶと、消えてしまいそうな小さな声で陽奈子が呟く。

「人を…好きになるって…なんでこんなに、辛いの?…なんで苦しいの…?」

「…(やはり、煉獄となにか…)」


ポロポロと陽奈子から大粒の涙が溢れて止まらない。

「…泣くな。」

涙を拭うように陽奈子の頬に両手を添えて、顔を覗き込む。


「…っぎ、ゆさん……私っ…ひっ…く…杏寿郎が好き……」

「陽奈子っ…(なぜだ煉獄。なぜこいつを傷付ける…お前も陽奈子を大切に想っているなら…どうしてこいつを泣かせる…)」


もう俺の中で抑えていた気持ちが止まらなくなった。


ぎゅっ

陽奈子を強く抱き締める。


こんなにも、苦しい思いをしている陽奈子を見てはいられなかった。

「…俺なら、お前を泣かせない。」

陽奈子を抱き締める腕に更に力が入る。

「…っぎ、ゆさん…?」

「俺はお前が好きだ。」

抱き締めていた腕を緩め、陽奈子の両肩に手を置いて顔を見つめる。

「俺の隣で笑っていてくれないか?」

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