第5章 心通う
~三人称~
杏寿郎達が出店の前で立ち止まったのを確認した宇随達は、少し離れたところから見守った。
「あーあー、どうみたって今めちゃくちゃいい感じじゃねーか!それに煉獄、なかなか粋なことするぜっ」
「あのお二人は、このまま二人きりにした方が良さそうですね…もう煉獄さんは、想いを伝えたようなものですし」
「意味がわからねェ」「どう言うこと?」
状況を理解していない、実弥と蜜璃。
「ふふ、後でわかると思いますよ?」
「えー!しのぶちゃんの意地悪っ!教えてよー!」
と蜜璃が騒いでいると、二人が戻ってきた。
「すまないな、待たせて!」
「ごめんね…」
杏寿郎はとても満足そうに胸をはり、陽奈子は少し恥ずかしそうに戻ってきた。
「…戻ってくんなよ…」
「ん?なんだ、宇随!」
「なんでもねーよ!おら、行くぞ!俺は酒が飲みてー!!」
それからあちこち出店で食べ物や飲み物を買う。
『わっしょいっ!わっしょいっ!』
暫くすると、御輿がやってきた。
「お!来たなー!」
宇随がやっとお出ましか!と少し興奮していた
「何かあるの?」
このお祭りが初めての陽奈子は宇随が何に興奮しているのかわからなかった
「うむ!御輿同士でぶつかり合うのだ!」
「少し激しいですが、見ていて面白いですよ」
そう杏寿郎としのぶが言うと、反対側にも御輿が現れた。
『行くぞ!おらーっ!!』
それと同時に激しく御輿同士がぶつかり合う。
どんっ
「あっ…」
ぶつかり合いを見るために立ち止まっていた陽奈子に、誰かがぶつかりよろける。
そのせいで少し杏寿郎達と離れてしまう。
「あ、杏寿郎っ」
名前を叫ぶが回りの歓声がうるさくて声が届かない。
『もう1丁、行くぞー!!』
その掛け声と共にぶつかる音が響く。
ガツンッッ
ドガガガッッ
『どけどけ!!危ねーぞっ!!』
バランスを崩した御輿が倒れようとしていた。
近くに杏寿郎達がいる。
「あ、あぶなっ」
陽奈子が叫ぼうとすると、杏寿郎が庇う。