第4章 すれ違い
~夢主side~
金色のふわふわの髪が、なんだか今日はしゅんとなっている気がする
「…きょ、じゅろ…?」
声をかけると
「…おかえり、陽奈子」
と、少し寂しそうに微笑んでこちらを見る
私はにっこり笑顔を作って「ただいま」と返した
杏寿郎がここに着た理由はなんとなくわかってた、だけど触れるのが怖くて誤魔化してしまう
「どうしたの?あ、もしかしてまたフレンチトースト食べたくなっちゃった?」
「…いや、そう言う訳ではない。君が…心配だった。」
どうして、そんなに優しくするの…
「や、やだな!私は全然大丈夫だよ!ほら、みんなに支えてもらってるし!」
心配かけまいと、明るく振る舞う。
「何か…陽奈子の力にはなれないか?」
優しすぎるのは、時に酷だ。
今の私にはその優しさが辛い。
「…杏寿郎……優しいね。ありがとう!でも、大丈夫だよ」
笑顔がひきつってしまう
「そうか…もし、俺に何か出来ることがあったら言ってくれ。君に頼られるのは嫌いじゃない、とても嬉しいんだ。」
ふっと杏寿郎が微笑みながらこちらを見つめてくる。
「…ずるい…」
俯き、小さな声で言うと
「む?なんだ?」
「杏寿郎はずるいよ…」
次第に涙で視界が歪む。
顔を上げて、杏寿郎を見る。
泣かないと決めても、止められなくなった。
「っ!よ、よもや!!どうしたのだ!?俺が何か気に触ることを言ったか?!」
笑って誤魔化す。
「…っふ、ふふっ、なんでもないよ。びっくりした?」
涙を拭って、これ以上溢れ出ないよう耐える。
「…君は…本当に…驚かせることをする。心臓に悪いのでやめてくれ!」
「ごめんなさーい!」
自分の気持ちを伝えてしまえば楽になれたのかな?
でも、それでぎくしゃくはしたくない。
せめて片想いでもらいいから、杏寿郎の側にいたい。
そう願った。