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し ん あ い【鬼滅の刃/煉獄/R18】

第4章 すれ違い



~三人称~



"大切な友達"



その言葉が陽奈子の中で、木霊する。



「(杏寿郎が優しくしてくれてたのは…

友達だったから…)」


本人から聞くと、ずっしりと言葉が重くのし掛かる、



「陽奈子さん……(煉獄さん、本当にあなたは…)」

しのぶちゃんが陽奈子の肩に手を添える。


「…煉獄、お前なー(今チャンスだったじゃねーかよ!)」

宇随がそこは「彼女と言うべきだっただろ!」と心の中で叫ぶ。


とても気まずい、重苦しい空気が流れ沈黙が続く。

その沈黙を破ったのは陽奈子だった。


「…みんな、ごめんなさい。折角の、お祝いの席だったのに……ごめん、私……今日は帰る。」


そのまま陽奈子はこの場から逃げるように、走って店から出ていった。


「お、おい!陽奈子!!」

宇随が呼び止めるがその声にも振り返らず行ってしまった。


「……」

杏寿郎はただただ、俯き拳を握り締めることしかできなかった。


「…っ。」

それを見ていた義勇が行動を起こす。

前掛けを外し、勢いよく玄弥の胸に押し付ける。


「すまない、玄弥。後は任せた。」


そう言って陽奈子の後を追いかけた。



その行動に宇随もしのぶも何かを察したようだ

「(へぇー、こりゃ面白いことになったな)」
「(なるほど、そう言うことでしたか。)」



これはうかうかしてられないと思った宇随は杏寿郎に声をかける


「煉獄。お前、陽奈子のこと、追いかけねーの?」


そう杏寿郎に尋ねると

申し訳なさそうに眉を下げながら


「今の俺では陽奈子を余計に傷付けてしまいそうだ…それにこんな状況で何と声をかけるべきか、わからない…」


その声にはいつもの張りはどこへ行ったのか、と言わんばかりに弱々しいものだった。

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