第4章 すれ違い
「陽奈子、その紙袋はなんだ?」
しまった…大事に持ちすぎて、本人に丸見えの状態で持ってきてしまった。
「…え、っとー…その、この間ちゃんとしたプレゼント…あげられなかったから、気に入ってくれるといいんだけど…」
この場を回避する、言い訳が思い付かずに正直に言って杏寿郎にプレゼントを渡す。
「よ、よもや!!ありがとう!とても嬉しいぞ!開けてもいいか?」
「…うん。」
中身が気に入ってくれるか少し不安に思いながら、私の横で「何が入っているのだ!?」と、目を輝かせている杏寿郎を見た。
「これは!?陽奈子、こんな高そうなものいいのか!?」
「いつもお世話になってるし、そのお礼も予て…杏寿郎のお財布、ボロボロだったでしょ?」
ソファを買いに出掛けたときに、杏寿郎のお財布がボロボロだったことを思い出した。
「…こういうものって、多分……か、彼女とか…そゆ人があげるものだと思うんだけど、これしか思い付かなくて…」
「…か、かのっ!?!?よもや…いや、ありがとう!陽奈子から貰ったのだ!何でも嬉しいぞ!大切にする」
喜んでもらえてよかった。
そんな私達にヤジを飛ばすように宇随さんが声をかける
「おーい!お前ら二人で盛り上がんなよ!!俺らもいんだからよっ!」
「べ、別に盛り上がってなどないぞ!?俺は…」
「はいはい、わかったわかった。おし、今日は遅くなったけど、煉獄の誕生祝いだ!煉獄、誕生日おめでとー!!」
宇随さんの「おめでとー!!」の声にみんな一斉に祝福の声をあげる。
「うむ、皆ありがとう!21歳の誕生日を迎えられたのも、皆のお陰だ!これからもよろしく頼む!」
杏寿郎らしい、主役の挨拶だ。
みんなで乾杯してから、玄弥くんが料理を運んでくる。
「あ、玄弥くんありがとう!結構頼んだから、私も手伝うよ!」
そう言って、義勇さんが作った料理を運ぶのを手伝う。