第4章 すれ違い
~夢主side~
あの一件があってから数日。
蜜璃ちゃんに「今日の夜、煉獄さんの誕生日会をするから、陽奈子ちゃんも絶対に来てね♡」といきなり言われた。
この間あんなことがあったのに、顔合わせづらいな…
でも、杏寿郎の誕生日はきちんと祝ってあげたい!
この間は全然それっぽくなかったし、皆でお祝いしてあげたい!
そう思い、何かプレゼントを考える。
「(そうだ!)ねぇ、蜜璃ちゃん。休憩って、抜けても大丈夫?」
「あ、うん。大丈夫だよ!どこか行くの?」
そう聞かれるけど、今は内緒。
「ちょっとね」
その日のお昼休み。
エプロンを取ると、足早に店を出る。
「(えっと…確かこの道であってるはず…あ、あった!)」
そのお店で杏寿郎へのプレゼントを買うと、大事そうに抱き抱えながらまたお店に戻った。
夕方になり、片付けを早めに済ませて、義勇さんのお店に向かう。
しのぶちゃんが電話で予約を入れていたみたい。
お店の前まで来ると、一気に緊張してきた。
「(普通に…普段通りに…)」
若干震える手を抑え、自分に言い聞かせる。
「もうみんな来てるかな?」と蜜璃ちゃんがお店のドアを開けた。
と、同時にすごく騒がしい笑い声。
「ぎゃははは!!おっまえ、まっじでサイテーなっ!」
「いやいや、マジなんだって!!」
そんな声が聞こえてきた。
「あ、あらー、お客さんいるね。とりあえず入ろっか?」
蜜璃ちゃんに言われ、お店に入ると義勇さんと視線が合う。
すると「奥だ。」と席を教えてくれた。
義勇さんのお店は入り口が真ん中にあって、右と左でそれぞれ小上がりがある。
奥に視線を移すと、宇随さんが手を振る。
「おー!こっちだ、こっち!早く酒飲もうぜ!」
全くこの人はお酒のことで頭がいっぱいなんだからっと思いながら小上がりに上がる。
でも、どこに座ろうとおどおどしていると、宇随さんが「お前はこっち」と杏寿郎の隣に座らせてくれた。
「お疲れ様、陽奈子!」
笑顔が眩しい。
それと同時に心がぎゅっと締め付けられる。
「きょ、杏寿郎もお疲れ様…」
直視できなくて、少し視線を逸らしながらボソボソっと話す。